本日のご相談
結論として、カットマンは、カットが無理なくできる中で、できるだけ台の近くでプレーした方が良いです。
「カットが無理なくできる」ことが重要である理由は、(当然ですが、)カットを頻繁にミスしては勝てないからです。
以下では、カットマンが「できるだけ台の近く」でプレーした方が良い理由を5つご紹介します。
この記事を書いている私は、卓球歴30年程度のカットマンです。
大学生の時に関東学生卓球連盟会長杯で優勝。
最近も、都道府県の社会人大会個人戦優勝(2回)等の経験があります。
大学卓球部や一般の方向けの指導歴(コーチ)もあります。
カットマンができるだけ卓球台の近くでプレーした方が良い5つの理由
カットマンができるだけ台の近くでプレーした方が良い理由は、5つあります。
理由1:攻撃を最大限有効にするため
後陣からドライブをしても、相手が上級者になると、得点にはならないです。
それは、打球してから相手コートに届くまでに時間がかかるので、相手が十分反応できてしまうからです。
ですので、攻撃は前陣(台の近く)で行います。
前陣ですと、逆モーションも有効になり、相手への精神的ダメージにもなります。
そのため、カットしてすぐに攻撃に転じることができるように、できるだけ台の近くでプレーした方が良いです。
理由2:対戦相手から攻撃準備の時間を奪うため
相手が攻撃した球を、台から離れた位置でカットすると、相手としては、攻撃をしてから次に打つまでに時間がいっぱいあります。
そのため、相手は、ドライブを連打する際も、無理なく、大きなテイクバック(バックスイング)をとることができ、強い球を打つことができます。
同時に、連打の難易度も下がりますのであまりミスしません。
逆に、台から近い位置でカットすると、相手としては、攻撃をしてから次に打つまでに時間があまりないため、大きなバックスイングをとった連打が難しくなります。
その結果、強い連打が難しくなるので、攻撃ミスが出るか、もしくは、攻撃の威力が下がります。
同時に、短い時間間隔で繰り返し下回転を持ち上げることで、疲れます。
ところが疲れたからといって、下手にストップやツッツキをすれば、カットマンに前陣で攻撃を食らうことになるので、それもできません。
試合が進めば進むほど、対戦相手は疲れて、困り果てます。
理由3:対戦相手にカットの変化を見極めにくくさせるため
相手が攻撃した球を、台から離れた位置でカットすると、相手としては、攻撃をしてから次に打つまでに時間がいっぱいあります。
そのため、相手は、こちらのカットのスイングをしっかり見ることができるので、カットの変化を見極めるためのヒント(カットする時のスイングの特徴など)を見つけやすくなります。
そうすると、ただでさえ回転の効果がプラ球では、相手はカット打ちを全くミスしてくれなくなり、カットマンが不利になります。
そのような事態に陥らないために、できるだけ台から近い位置でカットすることが重要です。
理由4:相手の浅いループドライブへの対応をしやすくするため
相手の浅いループドライブを台の下で(粒高以外で)変化カットすると、相手はカットの回転がわからないので致命傷です。
でも、このカットは、しっかりとした体勢でやらないと、変化カットが効きません。
台のすぐそばで、安定して、しっかりとした低い体勢を作るためにも、下がり過ぎないことが重要なのです。
言い換えると、カットマンが前の方でプレーしている限り、相手は、「浅いループドライブ」という「カード」をむやみに使えなくなります。
相手のカードを一枚減らせる訳ですので、相手を苦しませることになります。
理由5:対戦相手のストップへの対応をしやすくするため
プラボールのストップは、上手な選手と当たると、えげつなく短いです。
大きく離れた位置からカットして、ネット際にストップされたら、良いボールで返球できませんね。
場合によってはノータッチをくらいます。
それを防ぐためにも、下がり過ぎないことが重要です。
補足説明:なぜ相手の気持ちがわかるの?
ここまで読んで頂き、納得して頂ければ全く問題ありません。
しかし、一部の鋭い方は、「なぜ対戦相手である攻撃選手の気持ちがわかるのか?」と思われるでしょう。
それは、私自身がカットマンと試合をするときは、そのほとんどの試合で、カットをせず、攻撃選手になっているからです。
ですので、カットマンと試合をするときの気持ちがわかるのです。
ですので、私と試合をするとき「だけ」は、とても大きく下がってプレーしてくださいね!
(^_-)
前陣カットの練習の重要性
以下の記事にも書きましたが、プラ球を使う現代卓球では、カットマンは、38mm球時代から続く、従来の守備重視の戦術だけでは苦しいです。
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カットマンの戦術:現代卓球を生き抜く方法【中級者向け】
本日のご相談 カットマンを5年以上やっていますが、試合で思うように勝てないです。 どうやって点を取ればいいのでしょうか? 本記事では、私が考える、現代卓球でのカットマンの勝ち方をお伝えします。
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ですが、上記の通り、できるだけ台から近い位置でカットをすれば、有利に試合を運べます。
現代卓球は、理詰めで勝ちましょう。
とは言え、それを可能にするには、台の近くでカットが安定してできることが必要条件です。
決して簡単ではありません。
それができるようになるために、普段の練習の時から、台の近くでカットをする練習をやり込みましょう。
練習の時は、試合中に想定されるよりも前の位置でカットしていれば、本番では、余裕があるはずです。
ボールがいっぱい使える環境なら、多球練習で、前陣でカットをする練習をやりこみましょう。
余談:「練習のための練習はよくない」
これは余談ですが、よく、「練習のための練習はよくない」と言いますが、具体的には、上記の通り、戦術を立てて、それに必要な技術を身につけるための練習メニューを考えて行えばよいのです。
本記事の例では、「戦術として、試合中にできるだけ台の近くでプレーをする」ために、「普段から多球練習で、前陣でカットを安定させる練習」を「行う」となります。
ただなんとなく、他の人がこんな練習やってるから自分もやってみる、だけでは確実に伸び悩みます。
もう少し大きい話をしますと、
自分は「何で」試合で勝つのか。
この問いに対する自分の答え(本記事のような「パーツ(部品)」だけではなく、「全体」の大きな戦術)を明確にし、それに必要な練習メニューを考えて、実行しましょう。
私がおすすめしている(全体の)戦術は、以下の記事にまとめてあります。
私も実行し、確かな手応えを感じているものです。
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カットマンの戦術:現代卓球を生き抜く方法【中級者向け】
本日のご相談 カットマンを5年以上やっていますが、試合で思うように勝てないです。 どうやって点を取ればいいのでしょうか? 本記事では、私が考える、現代卓球でのカットマンの勝ち方をお伝えします。
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台の近くでプレーするのに適したカットマンの用具の特徴
台の近くでカットを安定して行うために、用具は弾み過ぎないものを使うことをお勧めします。
ご参考まで、私は以下の用具を使っています。
著者の用具一覧
- フォア面:ファスタークG-1(黒。スポンジ:中。メーカー:ニッタク)
- バック面:Apollo5(アポロ5。赤。スポンジ:超極薄 0.7mm。メーカー:銀河)
- ラケット:TILUNA(ティルナ。グリップ:フレア。メーカー:ニッタク)
詳しくは、以下のページをご覧ください。
- ファスタークG-1:下記ページ全体
- Apollo5:下記ページ内の該当箇所
- TILUNA:下記ページ内の該当箇所
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カットマンにファスタークG-1がおすすめのラバーである14個の理由
本日のご相談 カットマンにファスタークG-1はありですか? 結論として、カットマンにファスタークG-1はおすすめです。
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ご自身のカット技術のレベルに応じて、台の近くでもカットが安定してできる位、弾み過ぎないものを選ばれることをおすすめします。
自分自身の技術レベルを考慮し、戦術を考え、それに合わせて合理的に用具を選ぶのが勝利への近道です。
ご参考まで、私がおすすめしている中級者カットマンにおすすめのフォアのラバーは、以下の記事にまとめています。
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カットマンにおすすめのフォアのラバー8選【中級者編】
本日のご相談 私はカットマンですが、プラボールになってから、試合で思うように勝てないです。 おすすめのフォア面のラバーはありますか? 本記事では、私が考える、現代卓球でカットマンが勝てる、フォア面のラ ...
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「弾みが弱い用具では、攻撃力不足なのでは?」と心配される方もおられるかもしれません。
ですが、強い相手に、弾む用具で遠くから攻撃しても、通用しません。
逆に、台の近くで攻撃すれば、弾みすぎない用具でも、十分得点になります。
(相手のロビングを前に止めることも容易になります。)
ですので、台の近くでカットを安定して行うために、用具は弾み過ぎないものを使うことをお勧めします。
まとめ
カットマンは、カットが無理なくできる中で、できるだけ台の近くでプレーした方が良いです。
その理由は以下の5つです。
台の近くでプレーする理由
- 攻撃を最大限有効にするため
- 対戦相手から攻撃準備の時間を奪うため
- 対戦相手にカットの変化を見極めにくくさせるため
- 相手の浅いループドライブへの対応をしやすくするため
- 対戦相手のストップへの対応をしやすくするため
試合中に台の近くでプレーできるようになるために、弾み過ぎない用具を使い、普段の練習から前陣カットの練習をしておくことをおすすめします。
よくある質問
1. 台の近くでプレーするなら、大きな前後のフットワーク練習は不要ですか?
間違いなく「必要」です。
本記事で解説した通り、できる限り台の近くでプレーするのがベストですが、高い打点で強打されたボールは、さすがに台の近くでカットで返球するのは困難です。
ですので、その場合は、大きく速く後陣まで下がってカットできるように、普段から大きな前後のフットワーク練習もしておきましょう。
2. カットは腰の高さで打球すると習いましたが?
いい質問です。
腰の高さでカットをするのは「基本」です。
38mm球の時代からそうです。
この打点が一番「安定」します。
38mm球では、そもそもカットを安定させること自体が難しかったので、安定性は極めて重要でしたし、それだけである程度勝つことができました。
ですが、プラ球では回転効果がずっと弱く、一般的に、ドライブ攻撃をする側が有利です。
つまり、カットの安定性「だけ」を求めて、基本に忠実に、台から大きく下がっていては、現代卓球ではカットマンは勝ちにくいのです。
しかし一方で、プラ球になったおかげで、台の近くでカットするのも、ずっと容易になりました。
ですので、この容易さを利用ながら、本記事でご説明した理由により、(カットが安定してできる範囲で)できるだけ台の近くでカットすることをおすすめしています。
ただし、まだカットが安定していない初心者、初級者の方は、まずは基本通りの打点(腰の高さ)で安定したカットを習得することをおすすめします。
台の近くでカットをするのは、その次の段階です。
3. カットの打点は下げてはいけないのでしょうか?
いけないことはありません。
カットマンの強みの一つは、様々な「変化」をつけられるところだと考えます。
その「変化の一環」として、打点も意図的に変化させるのは、「一つのカードとして」、「大いにあり」だと思います。
プラ球使用の現代卓球で「おすすめできない」のは、相手に攻撃された時に、カットのミスをする事を過度に怖がり、「必要以上に下がってカット」してしまうことです。
本記事でご紹介した通り、これをやってしまうと、対戦相手が上手なら、相手が有利なまま試合が進みかねません。
この辺が、プレーしている選手自身ではなかなか気づきにくい点だと思います。
基本の安定したカットをある程度、身に付けたら、意識的に、出来るだけ台の近くでカットできるように練習しましょう。
4. ドライブの威力がめちゃくちゃ強い相手でも台の近くでカットすべきでしょうか?
相手のドライブの威力が強く、カットが台に収まらない場合は、まずは後陣まで下がってカットすることにより、カットをオーバーミスしないようにしましょう。
そして慣れてきたら、無理のない範囲で、出来るだけ早い時点で、台の近くでプレーするようにしましょう。
ただし、上述の通り、こちらのカットを台の近くですれば、相手は強いドライブを連続で打ちづらくなりますので、出来るだけ試合の最初の方から台の近くでカットすることをおすすめします。
そのためには、甘いツッツキを入れてはいけません。
いきなり強いドライブをくらいます。
打点の高い、鋭いツッツキをしましょう。
また、できるだけ先制攻撃をしましょう。
そうすれば、相手は守りの姿勢になったり、少し下がったりするので、その後のドライブは、大幅に威力が下がります。
基本的に、常にこちらが有利になるように試合を進めましょう。
これがプラ球使用の現代卓球でカットマンが生き残るための基本的な考え方だと考えます。
現代卓球でカットマンが生き残るための戦術に関しては、以下の記事にまとめていますので、是非どうぞ。
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カットマンの戦術:現代卓球を生き抜く方法【中級者向け】
本日のご相談 カットマンを5年以上やっていますが、試合で思うように勝てないです。 どうやって点を取ればいいのでしょうか? 本記事では、私が考える、現代卓球でのカットマンの勝ち方をお伝えします。
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今回の記事が皆様の勝利への道標として役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。